『せいめいのはなし』(福岡伸一/新潮社)で福岡伸一にも朝吹真理子にも影響を与えたと紹介されていた『せいめいのれきし 地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし』を、あれからずっと探しているんだけれどなかなか見つからない。探し方が悪いのかそもそもあまり置いているところがないのか。この日も絵本売場で見つからず、しばらく眺めていたらどうしても気になって、ついつい買ってしまったのがこの本。こういう時はなんだか本が「私を買ってください」と言っているような気分。
『地獄と極楽』(【地獄】宮次男 監修【極楽】西川隆範/枡田英伸 監修 / 風濤社)
絵が綺麗。地獄の様子などおどろおどろしいものが描いてあるけれど、とにかく、綺麗。【地獄】の絵は千葉・延命寺に、【極楽】の絵は京都・法然院と愛知・貞照院にあるものを、それぞれ市川和正、上條道夫という方々が撮影したもの(ということを奥付より理解)。 絵の上に、少しずつ文章が載っている。【地獄】の終盤に「地獄でおそろしいのは、死ぬことができないことだ。(中略)おかしたつみがきえるまで、くりかえし、くりかえし、くるしまなければならないのだ。無間地獄だ!」とある。
生きることができないのもおそろしいし、死ぬことができないのもおそろしい。死があるから生がある。いまは情報過多で、じっくり考えるということがなかなかできにくくなっている。昔の人の方が、こういうことをじっくりと考え抜いたので、地獄とか極楽という発想が生まれてきたのだろうか。
【極楽】の方には、大きなハスが浮かんでいる、七つの宝ものでできた池が出てくる。七つの宝ものとは「キン、ギン、ルリ、ハリ、シャコ、サンゴ、メノウ」で、「ハリは水晶かな。シャコはきれいな貝よ」とある。「ハリは水晶」が個人的にはとても気になる。「玻璃」で「針」ではないが、どこか繋がっていそうな気がする。
(日々本 第91回 針谷和昌)
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