ことしの本棚11『BORN TO RUN』

大発見!走っていて思いついた!!

ひさびさにLSDランをやっていて(この場合のLSDにはヤバい意味はありません。ロング・スロー・ディスタンス・ラン、つまり長い距離をゆっくりと走る という意味です)、その途中、いろんなことを考える。仕事、プライベート、社会貢献活動、趣味、その他さまざまなこと。走っていると次から次へといろいろ なことや考えが頭に浮かぶ。そして去年読んだこの本のことも、その内容も蘇ってきた。

『BORN TO RUN 走るために生まれた』(クリストファー・マクドゥーガル/近藤隆文 訳/NHK出版)

このブログを始める前、去年の9月過ぎから、ある匿名ブログに読書の足跡を記してきた。このブログを始めても書いていたが、内容が重なりそうになってきたので、匿名の方では読書シリーズをやめた。そのブログで書いた『BORN TO RUN』を再現してみる。

何と世の中のことを知らないんだろう。『二酸化炭素温暖仮説の崩壊』(広瀬隆/集英社新書)[11.5に紹介]で世界の温暖化に対する現在の常識=二酸化 炭素の増加が温暖化の原因ではない=を知り、『アメリカとともに沈みゆく自由世界』(カレル・ヴァン・ウォルフレン/徳間書店)[12.5に紹介]で米国 民のオバマ大統領への諦めを知り、そしてこの本で、ランニングシューズは怪我のもと、ということを知る。声には出さないがどれも「えーっ!?そうだった の!」と読みながら驚く。

クッションがある高機能つまり金額的にも高いシューズを履いているランナーの方が怪我が多く、易くてボロボロのシューズの方が怪我をしにくい。いちばんい いのは裸足で走ること。なぜなら人間の足はそのように出来ていて、靴はいいものを履けば履くほど裸足の状態から遠ざかる。

そういうことが、メキシコのタラウマラ族と世界のウルトラランナーたちとの壮大な物語の間に、書かれている。そういうシューズの発案者であるナイキもそのことは知っていて、近年裸足をテーマとした宣伝と商品を出し始めた。それもまた驚かされる話である。

さらに感動的なのは、人間はなぜ二足歩行を始めたかという疑問から、それは走るためで、しかも長距離を走るためという推論が導かれる場面。長い距離を走る力は、動物の中で人間がいちばんで、その能力を伸ばして人間は獲物を捕らえてきたということ。

この本には、「楽に、軽く、スムーズに、速くという感覚」で走る人が、あるいはそういう人を真似てそうやって走れるようになった人が出てくる。「楽に、軽 く、スムーズに、速く」…最近の朝のランニングで僕は、「楽に、スムーズに」だけれど「重く、遅く」である。「軽く、速く」を意識して、しばらく走っ てみることにする。

人間は獲物を捕るために長い距離を走った。その走っている間には、ランニングハイ状態も含めて、いろいろな考えが頭に浮かぶ。つまり…走っているうち に自然と頭を使うことになって、人間の脳が進化してきた、のではないか!?獲物を捕るために長く走る、走る間にいろいろ考える、考えることを繰り返してい ると脳が発達…“走る”ということはこれほど人間にとって根源的な、人間が人間である基本を形づくっているものだということに、僕は“走り”ながら気 がついたのである。

ことしの本棚 第11回 針谷和昌)

hariya  2011年2月07日|ブログ