日々本 其の三百二十九「狼 2」

ソチ・オリンピックの聖火ランナーとして登場した女子テニスのシャラポワは大きかったけれど、その後に出て来た男子レスリングのカレリンはさらに大きかった。改めて男性の方が女性より大きいと感じたシーンだが、フィギュアスケートのペアなどを見ると、男性と女性の大きさの違いがより明解だ。「無酸素運動を行うためには筋肉量が必要」という後藤さんの話から連想すると、男性の方が女性よりも無酸素運動を行う機会が多く、それでより筋肉が発達して、体が大きくなったということなのだろうか。

遠い昔、人間が狩りをしていた頃、動物たちよりも速くは走れないけれど長く走れることが、獲物を捕まえる上での利点となって、とにかくずっと追い掛けて行けば、とうとう動物たちは一歩も動けなくなって、捕獲に成功していたらしい。そうすると、この狩りは男性だけでなく、女性がしても良かったのかもしれない。子育ての関係で女性がとどまることが多かったと考えられるけれど、女性もいざとなったら狩りに行っていたのではないだろうか。

狼はカリブーを200~300m追って、老いや病気によって衰えたカリブーがいれば、その間に捕まえることができるし、いなければそれ以上追い掛けるのを止めるそうだ。人間はそれ以上、動物が走れなくなるまで追い掛けて捕まえていた訳だけれど、その獲物をどうやって持ち帰っていたんだろう。狼は自分の胃袋に入れて持ち帰るらしいが、人間だと胃袋に詰め込んでということは無理だろう。たぶん複数の人間で持ち帰って来たんだと思う。ということは、追い掛け始める時から複数だったはずだ。

団体走(だんたいそう)という競技はあまり聞いたことがないけれど、調べてみるとグループ走というのがある。専門のNPOがルールを定めていて、ペア走は2人、ファミリー走は2~5人、トモ走が2~4人、団体走が5人以上。またこれらとは別に、僕は練習会だけ参加したことがあるけれど、視覚障害者が走る時には伴走者がいる。こちらもある種のペア走である。

これらに加えて新たな団体走として、複数で走って折り返し地点に何か獲物に代わるものがあって、それを皆で持って走って帰ってくる、という競技があっても面白いかもしれない。往路を一緒に走った一人を、復路は神輿みたいなもので皆で担いで帰って来てもいいし、ハンティングランなんていうネーミングで新競技大会をやってみたら、きっと面白いと思う。何だかずいぶん狼から話が遠くなったけれど、新しい競技をたくさん集めて五輪大会のようにやってみたいなと、イメージはどんどん膨らんでいく。

日々本 第329回 針谷和昌)

hariya  2014年2月14日|ブログ