日々本 其の二百九十一「大野麥風展」

『大野麥風展』

(東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団))

こんなところにギャラリーがあるなんて、何度も通っているけれど知らなかった。東京駅丸の内北口の改札を出てすぐ右。東京駅が建て替えられた時にはこの辺でたくさんの人が天井に向かってカメラを構えていた。

とある日の夜、東銀座を友人たちと歩いていて暗闇の足下にもっこり立ちながら落ちている財布を見つけ、皆で拾って交番へ届けることになった。最初に入った三原橋の交番は無人。次に入った銀座四丁目の交番は閉まっていた。仕方なく有楽町交差点の交番へ。そこから近くて乗ったあとも便利な駅ということで、有楽町駅から京浜東北線に乗り、その電車の中で中吊り広告を見つけ、大野麥風?面白そう、とたまたま次の日の午前中に東京駅で人と会うことになっていたので、ちょっと早く行ってこの展覧会を見たのである。

思いのほかたくさんの絵があって、待ち合わせ時間もあるのでハイスピードで館内を巡ったけれど、どの絵も、とても好い。そういえば昔、こんな魚の絵を、こんな海老や蛸の絵を、描いたなぁ…なんて本当に描いたかどうか怪しいのだけれど、そういうことを思い出させてくれる数々の絵。

図録は買ったけれど、今回は少しだけ気持ちが急かされていたので、もう一度見に行ってみようかなと思う。もし実現したら、今度は自分も水の中で生活している気分で、ゆったりと見て回ってみたい。9/23(月祝)までなので、まだチャンスは充分ある。

日々本 第291回 針谷和昌)

hariya  2013年9月02日|ブログ