日々本 其の二百七十三「スポーツの源流」

『スポーツの源流』(佐竹弘靖/文化書房博文社)

ひょんなことからスポーツの歴史をひもとくことになった。それで適切な本はないかなと“本の森”(と僕が勝手に呼んでいる渋谷の大型書店)で探してみると、この本ともう1冊、同じ著者が同じ出版社から出している『スポーツ文化論』があった。それ以外、意外とない。現在、専修大学ネットワーク情報学部教授の著者の本を読むのは初めてだけれど、名前を覚えておこうと思う。書き出しておきたいこともたくさんある。

[世界]

・人は「ホモ・フンディトール」(投石人)と呼ばれる

・中世のスウェーデンに“野球肩”あり

・古代エジプトで「投げる」主役は女性

・古代ギリシャ文明の初期アテナイ期では「投げる」活動は男性にとって男らしさを披露する場であり同時に神への接近の体現

・古代ギリシャ人にとって「自然の美と肉体の美しさの調和」こそが理想的な生き方

・スパルタの教育目標は「行動の人」のみ、紀元前720年の競技会でスパルタの兵士が長距離走で優勝、81種目中40種目以上で記録達成

・最も古い剣闘士の記録は紀元前264年、ショーになったのは150年後

・ローマ帝国の皇帝の最大の関心事は民衆が自分をどう思っているか、競技場やコロッセウムに皇帝が入場した時の反応が大切

・ローマ帝国の青少年結社での教育プログラムの種目は、戦車競争、乗馬、曲馬、フェンシング、弓射、槍投げ、レスリング、ボクシング等

・393年、1500年続いた古代オリンピックが終了(第1回近代オリンピックは1896年)

・16世紀のヨーロッパの封建時代のスポーツで毎日騎士たちによって行われたのは騎馬試合、市民たちはフェンシング、レスリング、射撃等

・マヤではポク・タ・ポク、アステカではトラチトリというゴムボールを使った球技が行われていた

・アメリカでは1870年代に野球が国民的娯楽となっていた

・アメリカで1839年「ベースボール誕生100周年」記念祝賀会(第2次世界大戦開始年)

・クリケットは1774年に統一規制、最も早く近代的形式を整えたスポーツとなり、プロは1864年に誕生

・紀元前330-320年代のマケドニアのアレキサンダー大王はポロ好きで名手

・ポロは軍事訓練として発展した

・集団対集団で行う槍試合「トーナメント」は12-13世紀に最盛期を迎え、次第にスポーツとしての様式を整え、観客席を備えた競技場で行う貴族の遊戯として16世紀まで続く

・1896年第1回オリンピックアテネ大会から採用されている陸上競技、水泳、体操、レスリング、フェンシング、射撃、自転車、テニス

・バドミントンは1860年にイギリスで誕生

・大地の神ガイアの子供のクロノスとゼウスのオリンピアの野原でのボクシングで勝敗を決する争いが古代オリンピック競技の始まり

・古代オリンピックは、宗教儀式を主とした葬祭競技を行い勝利することで神により近い存在となることを目的として実施された(紀元前776年~/293回開催)

・聖火リレーは1936年ベルリンオリンピック大会から(スポーツの鉄人カール・ディーム博士考案)

・ボイコットオリンピックは1980年、84年

[日本]

・江戸時代中頃に活躍した儒教学者 貝原益軒『養生訓』が、日本で健康法を著した最古の著書

・福澤諭吉は“health”を1860年に出版した『贈訂華英通語』では「精神」、1866年の『西洋事情初編』では「健康」と訳す

・さらに年に出た『通俗民権論』で外部世界のさまざまな刺激に耐えるよう身体を鍛えることが積極的な養生法であり、剣術、柔術、相撲、遠足、水泳、競馬等を勧め、この時を境に日本では健康にまつわる運動が日進月歩発展していく

・ベースボールの日本伝来は1867年(明治初年)

・野球という言葉は1894年(明治27年)

・日本初の有料試合(慶大vs.セントルイス)は1907年、来日外国人同士の初試合は1913年、いずれも三田・綱町グラウンドにて

・バドミントンが日本へ入って来たのは1924年

・相撲が日本の国技と呼ばれるようになったのは1909年

・『古事記』には1対1で戦う格闘形式の身体活動があったことが書かれている

・サッカーが日本に移入されたのは1873年

・日本初のオリンピック参加(ストックホルム大会)に向けた1912年の予選会への出場資格は「紳士たり学生に恥じないもの」、紳士は貴族、上級役人、軍人、地主、商工業経営者、学生は東京帝国大学、早大、慶大、明大等の学生並びに師範学校生徒

日々本 第273回 針谷和昌)

hariya  2013年7月28日|ブログ