日々本 其の百四十八「チュルルスコーニ」

『Frederick』(Leo Lionni/DRAGONFLY BOOKS)

桜木町で初めて入った建物の5階の本屋をブラブラと回遊していた。探している本は特になくて、自分でもどうしてかわからないのだけれど、両手の平を指を開いて合わせてみると、それがもしかしたらテニスの両手打ちの感覚を掴むために良いんじゃないかと閃き、手の平を合わせたままフォアハンド、バックハンド、両方の素振りをやってみる。行けそう、そんな感覚を掴みながら、ふと目に入ってきたのがこの本。

洋書がディスプレーされているコーナーに立てかけてあって、「このネズミ、どっかで見たことあるな」と思って手に取ると、作者名にも覚えがある。本の宇宙のメンバーがこのネズミの人形のキーホルダーを持っていて、ベルルスコーニみたいな名前を付けて欲しいと言われ、チュルルスコーニと命名したことを思い出した。その時は名前のプレゼントだったけれど、今回はこの本自体をプレゼントするつもりで買った。

本のプレゼント。難しいけれど、もう30年ぐらい前に、アメリカの友人の神戸の家にたまたまクリスマスの時に行って、彼のお父さんから分厚くて思いペルシャの工芸品の写真集をプレゼントされたことがあって、それが何だかとても嬉しくて、自分もその後、たまにだけれど本をプレゼントするようになった。

この本の日本語版は、好学社というところから『フレデリック ちょっとかわったねずみのはなし』というタイトルで谷川俊太郎の訳で出ている。チュルルスコーニが動き回っていて、楽しい。

日々本 第148回 針谷和昌)

追記)ペルシャの本は今でも本棚にある。『A SURVEY OF PERSIAN HANDICRAFT』(Jay & Sumi Gluck/SoPA)。友人のご両親が著した本である。

hariya  2012年11月08日|ブログ