ことしの本棚100『tokyo towers』

Y田というコピーライターの友人がいた。同じY田さんというやはり友人のデザイナーから紹介され、すぐに打ち解けた。ちょっと裏返ったような声を出して喋ることが多く、よく笑う。話しているうちにどちらからともなく笑い始め、お互いに伝染し、爆笑する。会えば何度も大笑いする、貴重な友人だった。

その日も遅くまで飲んでいて、彼のオープンカーで送ってもらうことになった。ただ道半ば、「針谷チャン(と彼は僕のことを業界人のように呼んだ)、ちょっと別に行くところがあるから、ここで降りて」と降ろされて、僕はそこからタクシーで帰った。翌日、またしこたま飲んだ僕はタクシーで帰宅。寝て、起こされて、家があるマンションの前で降りた時、「また途中で降ろされた」と思い込んだ。降りたままその場にいると、いま僕を降ろしたタクシーがUターンして走っていく。「あぁ、この通りはタクシーが通っているぞ」と思ってそのままじっとタクシーが通りかかるのを待った。ずっと待っているけれどぜんぜん車が来ない。「もっと大きな通りへ行くか」と歩き出してしばらくして、「おや、ここは家の近くに似ているな」とさっきまで立っていた場所を振り返ると…。

この時のことを思い出す度に、彼のことも思い出す。彼は知り合って2年ぐらいで音信不通になってしまい、紹介者のY田さんに訊いても行き先がわからず。もう20年位前の話で、それ以来、会っていない。前置きが長くなったが、彼に次ぐ2人目の“笑いの友人”が、最近現れた。

藤井健太。日本のフットサルのパイオニアの1人。もうずっと前から知っている。その彼と話していて、話題はフェイスブックになった。僕は10月に3週間、東京タワーのすぐ近くにホテル住まいをしていたので、東京タワーの写真をたくさん撮って、それを「tokyo tower series」としてフェイスブックに連日載せていた。さらに別に「tokyo tower fan club」というページまで、フェイスブックに作ってしまった。

「針谷さん、かなり東京タワー好きなんですよね、フフフ」「もう、マニアですよね、ハハハ」「いやいや、危ないというより、大好きなんだなぁと(笑)」矢継ぎ早にそう言われて、いやいや近くに暫く住んでたからだよ、なんて言い訳しているうちに、2人で笑いが止まらなくなった。彼は突っ込み、僕は恥ずかしがる、そんな感じ。彼との間での、新しい展開だ。

この東京タワーの写真はまだまだあって、シリーズ再開をいつにするか、いまタイミングを見計らっている最中なんだけれど、その前に(社)本の宇宙で「クリスマスに本を」というオリジナル本を作ってクリスマスにプレゼントしよう、という企画を掲げた。そしてそのひとつの例として、自分で本を作ってみた。

『tokyo towers』(hariya kazuyoshi / uook books 2011)



これがその本である。全40ページ、33点の写真。これを見たら健太はまた爆笑して、突っ込みが止まらないんだろうなぁ。

ことしの本棚 第100回 針谷和昌)

hariya  2011年12月29日|ブログ