ことしの本棚68『東日本大震災 自衛隊救援活動日誌』

『東日本大震災 自衛隊救援活動日誌』(須藤彰/扶桑社)



巻頭にカラー写真が並んでいる。自衛隊のあのユニフォームにビニール手袋をして大きなおにぎりを握っている姿が微笑ましい。同じく自衛隊迷彩服ユニフォームでの音楽隊による慰問音楽会の写真には、へぇ~と思う。自衛隊、大活躍である。

陸上自衛隊の隊員(肩書きは政策補佐官)が綴った震災後の日誌。3/16~4/24まで、いろいろな被災地での様々な出来事が書かれている。

「自治体や住民が前向きに企画し、そえに自衛隊が協力するという形になりますと、目に見えて住民の生活が良くなります」

「(前略)以前の建物とほぼ同じ高さと容積の瓦礫が複雑に絡みついています。(中略)作業中、釘などを踏んでしまい、怪我をする退院も少なくありません」

「(前略)自衛官としての矜持があります。『自分がいるのは、いまこのときのため(後略)』」

「問題点を整理しますと、行政的には『縦割り』『リーダーシップの欠如』、財政的には『予算の非効率配分』『予算不足』、地域的には『縄張り主義』となります」

目頭が熱くなる箇所も多々あるけれど、この部分が僕はいちばん。こうやって書き写していても、その思いが再び、というところである。

「途中『おれ、自衛隊に入るから』という小学生もいました。それは頼もしい。理由を聞いてみると、お父さんが帰って来ないかとずっと海を見つめていたところ、若い自衛官に声をかけられたそうです。理由を話すと、その自衛官は何も話さずに方に手を置いて、しばらく一緒に海を見てくれたそうです」

ことしの本棚 第68回 針谷和昌)

hariya  2011年7月28日|ブログ